ISSUE THREE FEATURE

OH ! JUST MAGICAL!
田代コーチの「魔法の言葉」を訊け

俺のアドバイスが“魔法の言葉”だって? へー、そうなんだ。まぁアドバイスをすると言っても、そんなに難しいことは言わないよ。特にゲーム中なんかにごちゃごちゃ言われたくないじゃない。俺も若い時は嫌だったからねぇ。頭ごなしに『ダメだからこうしろ』と言われたって、余計に反発するだけ。重要なことは、タイミングを見て、短い言葉でシンプルにわかりやすく伝えることだよ。うまく選手をノセてね。これが上手かったのが関根潤三さんだね。82年から監督になった関根さんは、選手の心をくすぐってやる気にさせるのが本当に上手な人だった。言葉は短いんだけどね、『こいつを上手くさせてやろう』っていう気持ちが伝わってくるんだよ。あまりにも熱がありすぎて、1日に監督室に5回も呼ばれたこともあったな(笑)

 選手たちも考えながらやっているし、僕たちができるのは迷っている時に、手助けになるようなアドバイスを送ること。だから、コーチの連携も大事。みんながバラバラのことを言っては選手が戸惑ってしまうだろ。今は坪井コーチ、嶋村コーチとコミュニケーションを取りながら3人でうまく連携できているよ。言葉ひとつでも選手の心に火を灯せるようにね。タイミング、伝え方、いろいろ気を遣っているんだから。選手やまわりの人たちは『どうせ田代はボーっとして何も考えてねぇだろ』って思っているんだろうけどね。俺だって結構考えているんだよ(笑)

SCENE ONE
円陣はタイミングを見計らって効果的に


選手には『俺に集合を掛けさせるな』って言うんだよ。円陣=打てないってことだからね。ただ、打てない時はどうしてもある。でも毎回は集めないよ。選手に『またか』と思われたら効果なんてないからね。選手に迷いがある時だったり、声が必要なタイミングの見極めが大事だね。今年はベンチで怒ったこともあるし、俺の言葉で『さぁ行くぞ』と気合いが入ってくれたらいいんだけど、選手はどう思ってるのかね(笑)。

SCENE TWO
牧秀悟には簡潔にフォームのズレを


牧は気持ちが強いだけでなく、自分のバッティングを理解しているんですよ。だから大崩れはしないし、開幕当初からプロの速い球に苦労させられても自分で考えて対応できていました。僕らは入ってきた時のイメージを大事にしながら、ちょっとズレてきたらアドバイスする程度です。先日も少し突っ込んでいることを指摘したらすぐに修正して2安打でしょ。本当に手が掛からないすごい新人ですよね。

SCENE THREE
N・ソトには結果が出なくとも頭から否定しない


ソトも一時は自分の感じを思い出したかなと思ったけど、まだ本来の打撃じゃないね。ただ、去年のオフから自分なりに考えてやってきたことがあるから頭ごなしに否定はしない。他の言い方を探しながら、ヒントになることを伝えられるように努めています。特に外国人選手は打てなければクビという覚悟で来ていますからね。本人の考えや、やりたいことも、やっぱり大事にしてあげたいですよね。

SCENE FOUR
桑原将志も自分で考えて殻を打ち破ってくれた


この2年間、結果が出なかったからね。今年の1月に会った時にタイミングの取り方で意見を出したら、『僕も同じことを考えていました』と一致したんですね。そこからキャンプでしっかり取り組み、開幕して結果が出なくても今の形を貫いて結果を出してくれた。打撃は成長します。ただ、レベルを上げるには人に言われるでなく、自分で“やろう”と考えること。新しい自分を作り出してくれたね。

SCENE FIVE
細川成也には“自分で掴む”ための手助けを


彼は遠くに飛ばす素質に関しては間違いのないものを持っています。でもこの世界で食えるのは自分のタイミングを見つけた選手なんです。いま彼はそのタイミングを掴もうと試行錯誤しているところ。僕も丸4年掛かりましたが、これは自分で見つけるしかないんです。難しいですよ、本当に難しい。僕らからも『こういうやり方があるよ』とアドバイスしてはいますけど、やるのは自分次第だからね。

SCENE SIX
大和には余計なことは言わない


彼は自分で考えてやれる選手。男気があって、ガイコツになっちゃうんじゃないかと心配になるくらい練習する。調子が悪い時も自分で理解して対応策を出せるので、こちらから余計なことは言わない。調子がいい時に『いま、ここの動きに気を付けているな。そのおかげで、こうなっているからすごくいいよ』と言うようにはしています。試合の大事な場面で効果的な一言を? いやいや、信頼しているからね。あの日はもう何も言うことなかっただけだよ(笑)。

PROFILE
田代富雄 1,2軍巡回打撃コーチ。1954年7月9日神奈川県小田原市出身。右投右打。1972年藤沢商業(現藤沢翔陽)高校からドラフト3位で入団。プロ4年目に1軍定着以来、右の大砲として長く横浜大洋の看板を担った。1991年現役最終打席での満塁ホームランは伝説。引退後は打撃コーチとしてベイスターズ、シーレックスほか、楽天、巨人、韓国SKなどを指導。2009年には横浜の1軍代理監督も務めた。

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