2020.10.22
【イベントレポート】eスポーツでスポーツ界は変わるのか?~新たなコミュニティの可能性~

  • CREATIVE SPORTS LAB

8月24日、CREATIVE SPORTS LAB(以下「CSL」)ではトークイベントシリーズの第17弾として、「eスポーツでスポーツ界は変わるのか?~新たなコミュニティの可能性~」を開催しました。

ゲストには、eスポーツの大会・PRイベント・Web番組の企画運営やゲーミングチームの運営等を手がける株式会社忍ismから、現役プレイヤーとして最前線で戦いながら代表取締役を務める百地祐輔さんと、クリエイティブディレクターの田中孝広さんにご登壇いただき、プロゲーマーの生業や、 eスポーツの活用事例をもとにゲームコミュニティの可能性を教えていただきました。

また、同じくゲストとして一般社団法人日本野球機構(以下「NPB」)から吉田伸記さんと酒本昇尚さんをお迎えし、プロ野球がeスポーツに参画した状況をお話しいただきました。 グローバルに広がりを見せているeスポーツにフォーカスし、オンラインでの新たなコミュニティの可能性やeスポーツがもたらすスポーツ界への影響等を紐解いていきます。

●はじめに―eスポーツって?

まずは事務局から「eスポーツ」という言葉の定義と現在の状況をご紹介しました。 世界的な拡がりを見せているeスポーツ市場では、身体的にプレーするものだけでなく「遊戯、競争、身体の鍛錬」といったことの広義の総称として「スポーツ」という言葉が使われています。

スポーツビジネスの観点から見ると、現在のプロ野球チームの収入源4本柱である①入場料②放映権③スポンサー④飲食・グッズは、eスポーツの世界でも同様にビジネスの柱となるものであり、これから拡大していく市場として注目されています。今回のトークイベントでは共通するビジネスモデルをもつeスポーツの現場からお話を伺います。

●NPBの取り組み―若年層と野球文化のタッチポイントへ

2018年からNPBでは、12球団を巻き込んだeスポーツへの参画を始めています。 例えば、昨年開催された「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン」は、12球団によるeドラフト会議によって選抜された代表チームがそれぞれの球団の名前を背負い、大人気ゲームNintendo Switch「スプラトゥーン2」で戦う、NPBが主催するeスポーツ大会です。 セ・リーグ6球団とパ・リーグ6球団に分かれてリーグ戦を行ない、勝ち上がった2チームによるe日本シリーズを経て、日本一のチームを決定します。(ちなみに2019シーズンの日本一は横浜DeNAベイスターズでした!)

動画をご覧いただくと、このような新しい取り組みは確実に若年層の心を捉えていることがわかります。これまでの野球観戦者は40〜50代のリピーターやコアファンが多いということは、野球ファンなら体感的に知るところです。しかし、eスポーツ参画は従来よりも若い世代や女性へのアプローチとなっています。eスポーツ大会をきっかけに球団グッズを購入して野球そのものを応援する若者も現れたというお話からは、2018年に検討を始めた大きな理由である「若年層と野球文化のタッチポイントを増やす」ことが実現されているのだと分かりました。

●忍ism―ゲームコミュニティ現場で

続いて、忍ismの百地(ももち)さん・田中さんのお話を伺いました。 百地さんは格闘ゲームを中心に活動しており、格闘ゲームタイトルの一つである「ストリートファイター」で二大世界大会の優勝経験もあるという活動歴9年目のプロゲーマーです。また、現役のプロゲーマーとして活動しながら忍ismの代表取締役も務め、プロゲーミングチームの運営やゲームイベントの企画などを手掛けています。 田中さんは忍ismクリエイティブディレクターとして、企画運営のディレクションやクリエイティブ全般を担当されています。ご自身もコアゲーマーとのこと。

●プロゲーマーの生業

ゲームのトッププロたちは、eスポーツ大会出場、動画配信を通じた情報発信(Youtubeなど)、日常の情報発信(Twitterなど)という大きく分けて3つの軸で生業のサイクルを形成しています。

一日のゲーム練習時間は10時間と、身体を使うスポーツではできない練習量をこなし、また、実践だけでなく、ゲームシステムや対戦相手の動きの事前研究、試合思考シミュレーション、メンタル管理といった座学も欠かせないのだそうです。
動画の配信やSNSの活用は、実はゲーム技術と同じくらい重要。他のゲーマーを魅了したり、コミュニティが活性化する情報発信は欠かせなく、ゲーム文化を形成するインフルエンサーとしての振る舞いにもプロ意識が求められているのだと感じました。

●ゲームコミュニティ

SNSによって全く違う年代がつながり、オンライン上で一緒にプレイすることが普通となった現在。結婚に至る人たちもいるという強いつながりを生むゲームコミュニティですが、コミュニケーションへの参加方法にはさまざまな種類があるようです。

動画配信を見て楽しんだり、カジュアルにプレイを楽しむ人から大会を目指す人まで、多様な参加者にそれぞれの入口が存在していることがよく分かります。 ゲームを通じた共通体験がコミュニケーションを生み、人と人とが繋がりやすい環境を作ることから「ゲームはコミュニケーションツール」というお二人の言葉には納得でした。

●ゲームコミュニティのこれから

現在「ゲームコミュニティ世代」と言われる層は10〜30代が中心となって形成されています。この先、ゲームを楽しめる場をより広い層に向けて作り、さまざまな世代が関われるように忍ismが注目されているトピックをご紹介いただきました。

ひとつは日常生活の中にゲームコミュニティが根付いていくこと。全国各地に小さな規模で集まれる場があれば、昔はゲームセンターが担ってきたコミュニティの居場所が、違う形で展開できると考えているそうです。

もうひとつは地方創生の文脈からの展開。「地方にeスポーツの草野球の場をつくる」ことを目的とした、地域住民を主役とするeスポーツプロジェクトに参画されており、プロジェクトメンバーとともに「地方のゲームファンやプレイヤー」を中心にした形での活性化に挑んでいるそうです。今年3月に開催された「steelo in Ehime」の主役となるプレイヤーは、地元愛媛の老若男女。 数ヶ月の練習期間を経てチーム戦を行ない、現地での対戦とオンライン配信を組み合わせたイベントとなったそうです。

このようにゲストの皆様からは、日本のeスポーツビジネスの現在形をご紹介いただきました。オンラインでのコミュニケーションが活発であることはゲームの大きな強みですが、一方で、大会等で多くの人が集まり熱気を共有できる場が生まれているということがとても印象的でした。オンラインとオフラインの組み合わせで、たくさんの人を魅了するeスポーツの世界にこれからも要注目です。

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