2018.11.14
【イベントレポート】11/7(水)「地域通貨の可能性を探る」
―CREATIVE SPORTS LAB TALK EVENT 009

  • CREATIVE SPORTS LAB

9回目の開催となるCREATIVE SPORTS LABトークイベントシリーズのテーマは、「地域通貨の可能性を探る」。2017年12月より開始した新たなスポーツ産業の共創を目指す新事業「BAYSTARS Sports Accelerator」(ベイスターズ スポーツ アクセラレータ)に採択された株式会社ギフティとともに、地域経済活性化を目指した電子地域通貨サービスの開発の検討に向けて、地域通貨の未来を考えるイベントを開催しました。


坂本広顕さん

今回は、日本政策投資銀行の坂本広顕さんによる基調講演から始まりました。
画面に映し出される、穴の空いたバケツの写真。バケツは地域経済の構造を示す、今回のお話を理解する上でキーとなる考え方です。「いまの地域経済構造は穴の空いたバケツのように、注いでも注いでも、漏れ出してしまう状態。穴をふさぐことはつまり、地域の中で経済がまわりお金の流通量が増える、お金の地産地消を意味します。」と坂本さんは話します。
現状では、お金は全国・世界のどこでも使えるという意味で、エリアから資金が「流出」している状態。あるエリア内で誰かがお金を支払い、受取った誰かがまたそのエリア内で消費する、という循環を生むことで、使用された総額が積み上がりエリアとしての売上が伸びる、という考え方です。

法定通貨(日本円)や、仮想通貨、電子マネーには無い「地域通貨」の基本特性は
・決済ができるエリアが限定されている=エリア外に資金が流出しにくい
・価値貯蔵(貯金)ができない=「期限切れ前に使おう」というインセンティブがはたらく
と整理することができます。これは、お金の地産地消を促す重要なポイントであり、普通の貨幣文化からすると制約にもなることをメリットにもできると坂本さんは考えているそう。

お金の地産地消、つまりエリア内を循環するお金の量が増えれば、地元商店などが地域通貨加盟店になるモチベーションに繋がります。また、地域通貨に設定されている使用期限によって、エリア内での消費は常時促されます。さらに、ポイント還元等の消費者にとって嬉しい「おまけ」をつけることで、地域通貨を活用して売上を伸ばす事例もあるそう。

成り行きで形成されたこれまでの地域経済から、意図を持ってプラットフォームをつくるこれからの地域経済へ。
①エリア外の資金を呼び込み、②それらの流出を防ぎ、③エリア内の資金量を増やす この3つを達成する地域性を踏まえたプラットフォームづくりを呼びかけました。


大曽根淳さん

基調講演の後は、実際にギフティの地域通貨決済を体験してみました。
ギフティの大曽根淳さんは「電子スタンプは安価に製造することができ、導入する際の初期投資を抑えることができます。今回の仕組みはギフティが提供しているサービスの一部を活用したもので、実現に向けて皆さんに体感していただきたいです。」と話しました。

使い方はこちら。


お客さんがそれぞれ、ウォレット(口座)の残金画面を表示します。

THE BAYS1F のカフェ&9でメニューを注文して利用金額を指定すると、店員さんが電子スタンプをスマホにタッチ。

決済が完了して、購入分の金額が引き落とされます。

決済後は商品を受取っておわり。とっても簡単!

体験した人からは、「QRコードでの支払いはお店の中で表示を探すことにハードルがあると感じていました。ギフティの仕組みは分かりやすくて簡単。」という声が寄せられました。

続いて、パネルディスカッションに移ります。
基調講演をおこなった坂本さんに加えて、しま共通地域通貨発行委員会の久保雄策さん、横浜関内・関外で街の活性化活動を行う齋藤美和子さんが参加。司会はDeNAスポーツ事業本部シニアマネジャーの上林靖史が務めます。


久保雄策さん

久保さんは長崎県職員として、交流人口の増加と人口急減を食い止めるべく、しまとく通貨に立ち上げ当初から携わってきました。離島以外の資金獲得と離島内での資金循環拡大をめざす地域通貨「しまとく通貨」は、長崎県内に点在する離島という地域特性にとてもフィットしたそう。地域通貨の成功事例としてよく取り上げられています。平成25年から始まり、紙での発行を経て平成28年に電子化。現在は100社を超える旅行会社とタイアップし、離島旅をPRして新規旅客の開拓を図るなど、様々な展開が生まれています。


齋藤美和子さん

齋藤さんのお仕事は学習環境デザイン(WS運営、学びの場の企画運営)が専門。関内で「よりみちベース」というスペースを企画運営し、「遊びと学びの交差点」をテーマに、産学官が連携してその枠組みを超え、年齢も国籍も関係なく人が集まれる場を作っています。大通公園でも活性化に取り組んでいるそうで、日々感じている横浜のバリューが地域通貨にどのように紐付き加速していくかを考えてみたい、と話しました。

まずはじめに、司会の上林は「通貨」を「何らかのバリューを表象するもの」「そのバリューが簡便に移動できること」の2機能が両立したものだと定義しました。地域通貨とは、ある地域内でその両輪を持ったものが機能すること。そこで気になるのが「地域」についてです。横浜という場所を、ひとつの地域として区切ることはできるのでしょうか?

久保さんは「離島だけで使える、とは言っても、ものすごい広域に離島が点在しているのが長崎。島であることと経済域を区切ることは親和性が高かったです。」としまとく通貨の地域特性を説明。齋藤さんはこれまでの経験から、「横浜を盛り上げよう」と発信するとたくさんの側面がありすぎてメッセージがボケてしまうが、「大通公園を盛り上げよう」であれば巻き込む人も明確で共感を得やすいと話しました。「対象を狭めることで輪郭がはっきりすると思います。」との発言に、坂本さんからも「顔が見える範囲の集団に対しては、合意形成やサービスに還元することがやりやすい。地域を区切ることの価値だと思います。」と共感の声があがりました。

齋藤さんのお話からはさらに、関内のまちなかでよく見かける「I☆YOKOHAMA」ロゴに発展。このロゴは横浜DeNAベイスターズがまちづくりプロジェクトとして始めたもので、希望する人やお店が掲げてベイスターズと一緒に街を盛り上げるためのもの。すでにまちなかで見かける、たくさんの横浜愛を刺激するような地域通貨にすることができれば、きっと「普通のお金」の便利さや貨幣の代わりという価値を超えたものになるはず。「『市民力が高い』ことが横浜の価値だと思っています。」と地域通貨実装に向けてエールを送りました。

久保さんからはこれまでの経験をもとに「たくさんの人が使ってくれる地域通貨になるためには、決まったことを発表してトップダウンで実施、ではなく『決まる過程でみんなに参加してもらう』ことが本当に大事だと思います。しまとく通貨の加盟店では上手く仕組みを使って売上を伸ばしているお店がある一方で、ほんの一部ですが、導入しさえすれば儲かる、と思ってしまっている人もいます。でもそんなことはありません。みんなで仕組みを作り、使い方や還元の仕方の理解を広めていく重要性を感じています。」と実感のこもったコメントが寄せられました。

さらに坂本さんからは、試合日に地域通貨の決済アプリとGPSをうまく活用することで、横浜スタジアム周辺の店舗への波及効果も見込んだアイディアも飛び出しました。一つの器が満たされるとその下、またその下、と次々に満たされていくシャンパンタワーを例にとると、バケツの穴を塞ぐだけでなくスタジアム周辺やそのまた周りの店舗が一緒に潤う未来が想像できます。近い将来、実際に地域通貨をまちで利用できることが楽しみで仕方ありません。

参加者から興味津々な質問も寄せられ、注目度の高いテーマであると実感した今回のトークイベント。今後も最新情報は横浜DeNAベイスターズのホームページで発信していきます、どうぞお楽しみに!

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