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FOR REAL-in progress-

「腹をくくって投げろ」―マウンドで芽生えた強気の姿勢―

「FOR REAL-in progress-」
2017.8.14

 優勝を目指して戦う横浜DeNAベイスターズ。その裏側では何が起こっているのか。
 “in progress”=“現在進行形”の名の通り、チームの真実の姿をリアルタイムで描く、もう一つの「FOR REAL」。

 前方にはタイガース、振り向けばジャイアンツ。

 つかず離れずの位置関係は、3位にいるベイスターズに緊張感を強いる。
 8月第2週は3勝3敗で、前週に続いて五分の星。いまのポジションを粘り強くキープしつつ、ここからいっきに加速して、まずはもう一度、虎の尾をつかまえたい。

 8月11日、対タイガース3連戦の初戦は、先発の石田健大が5回途中7失点と崩れ、厳しい試合になった。
 6回、霧雨の煙る横浜スタジアムのマウンドに立ったのは平田真吾だ。
 2イニング目の7回に1点を失ったが、失点は7月6日以来。その間に登板した7試合のうち6試合を三者凡退で打ち取り、自身の務めを淡々と果たしてきた。

 勝つ試合もあれば、負ける試合もある。
 どんなにリードされ敗色が濃厚になっても、野球は9回まで続く。
 誰かがマウンドに行かねばならない。
 現状、平田に声がかかるのは、そんなシチュエーションだ。

 社会人を経て入団4年目の27歳は、自身の役目をこう語る。
「自分がイニングを食えないと勝ちパターンのピッチャーがきつくなるので、自分の役割をしっかり果たしていきたい。3連戦のアタマとか2戦目で投げる時は、インコースに投げ切ることを意識しています。内角への意識づけと、相手に自分のスイングをさせないこと。次の試合もありますから、そういうことは考えてやっています」

 今シーズン、ここまで23試合に投げて防御率2.33の成績は、2015年(28試合、防御率3.38)をしのぐキャリアハイのペースだ。平田は苦笑を浮かべて言う。
「運がよかった、という部分も多い感じがしますね。いい感じで抑えられる時もありますけど、運よく打ち損じてくれたり……」

 だが、幸運がもたらされる根拠はある。
一つは、インコースに投げ切れていることで、最大の武器、スライダーが生きているということ。
 そしてもう一つは、精神面でのステップアップだ。

 ブルペンを担当する木塚敦志投手コーチに強く言われていることがある。

「腹をくくって投げろ」

 それこそまさに、昨シーズンまでの右腕に欠けていたものだった。ただでさえ、「おとなしくて人見知りな性格」と自己分析する静かな男だ。しかし、木塚からの再三の叱咤に、マウンドでの強気が芽生えてきた。

「(これまでは)もう、どうしよう、どうしよう、みたいな感じでした。カウントが悪くなったらどうしようって。打たれたらいけないと思って四隅を狙うと、ボール、ボールでカウントが悪くなる。でも今年はある意味、開き直って、ボール、ボールになってもドカンと(真ん中めがけて投げる)。フォアボールを出すぐらいなら、打たれてランナーが出たほうがいいと思っています。その結果として、打ち損じることもある。そこは腹をくくってやれてると思います」

 タフになったのは精神面だけではない。
8月4、5、6日のカープ戦では3連投。強力打線をいずれもパーフェクトに抑え込んだ。
「(3連投はプロ入り後)初めてかもしれないですね。一昨年とかには絶対無理だったと思います。肩に張りが出たりして2連投もきつかった。今年は下半身をしっかり使った投げ方を意識していて、肩が張ることがなくなりました。連投しても球速がガタッと落ちることもない。しっかり成長してるとは思います」

 北九州市立大学4年生の時、それまで140km台前半しか出なかった球速が140km台後半まで5~6kmも急に上がった。その要因は「自分でもわからない」。ただ、公務員を目指していた安定志向の大学生は、威力を増した投球によって頭角を現し、社会人のHonda熊本へと進むことになる。そして、完全実力主義のプロ野球界に飛び込んだ。

 ここに来たからには、勝利の方程式の一角に食い込みたいと平田は考えている。今シーズンのオープン戦も好投を続けてチャンスを掴みかけたが、確たる信頼を得るには一歩足りなかった。

「そうですね。いままでも、何回かチャンスはあったと思うんですけど、そこを生かせなかった。またチャンスが来るまでしっかりがんばって。結果を残して勝ちパターンに入っていきたいなって思います」

 8月13日、筒香嘉智の2打席連続ホームランなどで大きくリードした8回に、平田はマウンドに上がった。先頭に四球を出すも、4番ロジャースの内角に投げ込みセカンドゴロ併殺。続く打者も空振り三振に斬ってとると、胸を張ってベンチへと向かって歩いた。

 これも含め、ベイスターズリードの場面で平田が登板したのは今シーズン6試合目。すべて7点差以上の大差がついたシチュエーションだ。
 少しずつ、少しずつでも、点差の詰まった場面を任せられるように――。
 背番号34は自らを奮い立たせて、攻めの投球で信頼を掴みとる。