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FOR REAL-in progress-

全ては勝利のために -ウィーランドのFOR THE TEAM-

「FOR REAL-in progress-」
2017.7.24

 優勝を目指して戦う横浜DeNAベイスターズ。その裏側では何が起こっているのか。
 “in progress”=“現在進行形”の名の通り、チームの真実の姿をリアルタイムで描く、もう一つの「FOR REAL」。

 7月23日、「キッズスタジアム」と銘打たれた対ジャイアンツ3連戦の最終日。
 試合は6-6の同点で9回裏に入った。2アウトから柴田竜拓がセンター前に弾き返して出塁すると、たくさんの子どもたちが見つめる先に背番号25が姿を現す。

 決着は3球目。スムーズに回転した筒香嘉智のバットが捉えた打球は、バックスクリーン左に吸い込まれた。淡々とダイヤモンドを駆け抜け、最後は笑顔で仲間の輪に飛び込んだ。

 数日前、言っていた。
 「問題解決しなきゃいけない部分もありますけど、基本は自分で整理して、かみ砕いてやらないと、本物の問題解決にならない。そこはペラペラしゃべれないです。そんなに簡単なものではないとぼくは思っている」

 人は数字でものを言う。3試合連続2本塁打を含む月間16本塁打を放った1年前の記憶が、今シーズンの主砲の働きぶりを物足りなく感じさせる。
 だが、誰にどう言われようと、誰かに助けを求めるでもなく、ただ自分の心と体の対話の中に解を求めるのがこの男の流儀だ。
 そして夏の夜、勝負を決める一振りは生まれた。

 一つ前のカードに遡ろう。
 後半戦開幕のスワローズ戦で快投を披露した今永昇太に続き、2戦目のマウンドに立ったのはJ.ウィーランド。過去9試合に先発してクオリティ・スタートを逃したのはわずかに1度の長身右腕は、この日も安定していた。
 直球をコースに投げ分け、ナックルカーブで幻惑した。8回105球を投げて、3安打、7奪三振。最後は山﨑康晃にバトンを渡し、虎の子の1点を守り抜いた。

 昨シーズンが始まるころ、マリナーズの一員として先発の一角を担えると信じていた。しかし、メジャーでの登板機会は8月の1度きり。やがて、翌シーズンのメジャー契約の可能性は極めて低いことを悟る。

 そこに舞い込んできたのがベイスターズからのオファーだった。
 「日本というより『アジアから?』というのが第一印象だった。ほとんどアメリカから出たこともなかったからね。いろんな人に話を聞いてみたけど、野球のレベルは高いし、日本の球団でプレーすることは何も恥ずべきことじゃないと言われた。日本でいい結果を残して、さらに大きなチャンスを得られる可能性だってある。何より、マイナーじゃなくてメジャー、一軍で投げられるということが大きな決め手だった」

 異国の野球にはすんなりと適応した。メジャー球よりも縫い目の高いボールはウィーランドの手によくなじんだ。マウンドの固さの違いも、キャンプ地の沖縄で投げているうちにすっかり慣れた。

 日本に来て約半年。最も印象深かった出来事を問われて、こうなつかしむ。
「初日からチームのみんなが温かく迎えてくれたこと。ぼくが日本語を学ばなければと思う以上に、彼らは英語を学びたいという姿勢を示してくれた。誰も距離を置こうとしなかった。これには本当に感動したよ」

 まさにそんな話をしている最中、横を石田健大が通りかかった。取材に答えるウィーランドに意味ありげな流し目を送りながら。
「いまの見たかい? あんな感じでいつもからんでくるのさ」

 ベイスターズに溶け込み、日本の野球にアジャストしたウィーランドにも課題がないわけではない。特に、コツコツと当ててくる左打者に苦しめられているという。
「2ストライクまでは簡単にとれても、そこからファウルが続いて、なかなか空振りがとれない。前回のドラゴンズ戦もそういう場面があった。どう対処しなければならないかという点は、まだ模索しているところだね」

 コンパクトなスイングで粘る打者に苦戦している時、マウンドに駆け寄って言葉をかけてくれる“先輩”がいる。
 ウィーランドはいたずらっぽい笑みを浮かべて明かす。
「ロペスがこっそり、この球を投げろってヒントをくれるんだ。実際、その球を投げてアウトを取れたこともある。彼からは毎日、アドバイスをもらっているよ。グラウンドの中でも、外でもね。本当に尊敬できる存在だ」

 右ひじの張りのため一度は戦線離脱しながらも、ここまで10試合に投げて4勝2敗、防御率は2.19。
 2ケタは十分に手が届きそうだが、慎重な物言いに徹する。
「『10勝を期待してください』とは言えないけど、『ぼくが投げるすべての試合で勝ちを期待してください』とは言える。20試合投げて防御率0.00でも、0勝0敗ということはありえるわけで、そういう数字を見てもしょうがない。自分にできることは、いかにチームの勝利に貢献できるか。それだけだと思う。そのためにできる限りのことをしていきたい」

 何よりもチームの勝利を優先する。筒香が率先して口にするベイスターズの哲学は、1年目の外国人選手にもしっかりと浸透している。

 スワローズに3連勝、ジャイアンツに苦しみながらも1勝1敗1分。
 後半戦の開幕を上々に滑り出したチームは明日から、2位タイガースとの対決に臨む。
 ゲーム差はわずかに1。
 勝ち越せば同率2位。3連勝なら、ついに単独2位に浮上する。