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FOR REAL-in progress-

減らした体重と引き換えに手にしたもの。

「FOR REAL-in progress-」
2017.6.19

 優勝を目指して戦う横浜DeNAベイスターズ。その裏側では何が起こっているのか。
 “in progress”=“現在進行形”の名の通り、チームの真実の姿をリアルタイムで描く、もう一つの「FOR REAL」。

 6月17日のバファローズ戦は、終盤に大きく動いた。
 今シーズン3試合目の先発登板となった久保康友が6回3失点と試合をつくると、その裏に戸柱恭孝が逆転満塁ホームラン。1点差に詰め寄られた7回には、長短打で得点を重ね、安全圏にリードを広げた。
 背番号60が打席に入ったのは、11-5となった2アウト一塁の場面。快速右腕、佐藤達也の2球目のストレートを振り抜くと、打球はまぶしい西日に溶けこむように舞い上がり、レフトスタンドへ到達した。
プロ初安打で、プロ初本塁打。初の打点に、初のお立ち台。
チームはセ・パ交流戦の5割以上を確定させ、アレックス・ラミレス監督の通算100勝目に花を添えた。
この日、すべてがいっぺんにやってきた。

 白根尚貴がベイスターズに加わったのは昨シーズンからだ。
 島根・開星高校の巨漢球児はホークスへと進んだが、相次ぐ故障もあり、4年目の2015年からは育成選手に。
 そのシーズンが終わるころ、腹を決めた。
 再度の育成契約を断り、他球団での支配下登録を目指してトライアウトを受ける。そうしてベイスターズへとやってきた。
「あの時は賭けに出た。ヘタしたら、もう、この世界に戻れない状況になるところまでいった。いまとなってはよかったと思っています」

 高校時代、105kgまであった体重は90kgまで絞られた。
 6月14日に一軍に呼ばれてからも、15日、16日とファームゲームに参加。昼、夜、昼、夜と試合を重ね、「帰ったら風呂に入って何も食べずに寝た」と振り返るほどのハードスケジュールをこなすうち、体重は3日間でさらに減って、85kgに。
減らした体重と引き換えに、手にしてきたものがある。
苦労を重ねた過去5年間プラスアルファの経験値だ。
 あのホームランは、その経験値が打たせたものだ。
 白根は言う。
「佐藤達さんとは、ホークスにいた時に一度だけ対戦したことがあったんです。その時は送りバントでしたけど(笑)。キャッチャー(山崎勝己)もホークスで一緒にやっていたことがありましたし、絶対にどこかでまっすぐが来ると思っていました」
 さらに、ベイスターズで出会った大先輩からの励ましも効いた。
「ゴメス(G.後藤武敏)さんよりも先に上げていただいたわけですから、ここでチャンスをつかんで、ゴメスさんを追い抜かないといけないという気持ちでした。それなのにゴメスさん、応援してくれてるんです。代打での打席への入り方とか、聞いたことに対しても惜しみなく教えてくれる。本当にありがたい」
 新天地にたしかな一歩を刻んだ24歳は、日焼けした精悍な顔つきに充実感をにじませていた。

そして今夜、もう一人、ファームで時を過ごしてきた若者が一軍の晴れ舞台に立つ。
前日の雨天ノーゲームを受けて振り替えとなった交流戦ラストゲームの先発マウンドに、飯塚悟史が上がる。

 新潟・日本文理高校からドラフト7位で入団し、3年目を迎える長身右腕。一軍デビューの待望論はくすぶっていたが、あと一歩のところでチャンスを得られずにいまに至る。
 プロ入りした時の“3年プラン”は、「1年目で体づくり、2年目で一軍デビュー、3年目でローテ入り」。しかし1年目に右ひじの遊離軟骨除去手術を受けたところで計算に狂いが生じた。一度も一軍マウンドに上がることなく2年目を終え、悔しさは今シーズンに持ち越された。
昨秋の奄美キャンプで、2017シーズンの目標を尋ねた時、飯塚はこう言った。
「まず1勝です。一軍で」

 6月14日の登板(イースタン・リーグ)から中4日。予期せぬ形でアピールのチャンスがめぐってきた。
 未来につながる歩みを踏み出せるかどうか。
 それは、白根が自らのバットで目の前の扉をこじ開けたように、20歳の右腕にかかっている。